【BL漫画感想】スメルズライクグリーンスピリット / 永井三郎
スメルズライクグリーンスピリット SIDE:A (POE BACKS) (ポーバックス Be comics)
- 作者: 永井三郎
- 出版社/メーカー: ふゅーじょんぷろだくと
- 発売日: 2012/05/24
- メディア: コミック
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スメルズライクグリーンスピリット SIDE:B (POE BACKS) (ポーバックス Be comics)
- 作者: 永井三郎
- 出版社/メーカー: ふゅーじょんぷろだくと
- 発売日: 2013/04/24
- メディア: コミック
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ド田舎に住む学生、三島はクラスメイトの男子から“ホモっぽい”とイジメを受けていた。実際に男性が好きな三島は抵抗するすべもなく、隠れて女装するだけ が心の拠り所となっていた。ある日、三島は屋上で自分が以前失くしてしまった口紅を持ったイジメグループのリーダー・桐野を目撃してしまう。かれはこっそ りと三島の使った口紅を自らの唇に塗ろうとしていたのだった……。
ずっと気になっててようやく読めました。タイトル見る感じで、退廃的な話かと思ったんだけど(私のオルタナ=地下でギターかき鳴らしている)(そのまんま)意外にコメディ要素もちまちま入りつつなのですっきり読めました。いや、読後ずどーんときたけどね!
BL漫画枠ですが、BLというより狭い田舎に住むマイノリティな彼らたちの痛々しくもある青春劇とでも言えばいいのかな?男の人でも読めると思うよ。
私は放浪息子を思い出した。
とりあえず自画像がマッチョな人の漫画は大体面白い。
-----------以下ネタバレあり-----------
多分何かをやらかしたら次の日には町中に広がってしまうような田舎が舞台。ゲイで女装癖のある三島。その三島をいじめる桐野。
最初は桐野が三島のこと好きなんじゃ?と思ってたらそれは違った!
桐野は女の子になりたい男の子。なのかな?(きちんと明言はされていないけど)アタシ、って言っちゃうあたりから桐野がもうね、可愛くて可愛くて仕方ない。勿論だからって、三島をいじめたのはダメだけどね!でもその弱さを最後きちんと謝るところがあって良かった(1巻目ではうやむやにされてたから)。
1巻を読み終えたあたりではまだピンときてなかったんだけど、2巻の巻き返しがまあすごい。柳田の気持ち悪さの表現はすごい。気持ち悪いのに、受け入れてほしいというただただ当たり前のことが伝わってしまう。いや、もう絶対ダメなんだけどさ!!
その後の夢野が三島に対して「あ、違う」って冷静になって逃げ出してしまうとこなんてもう…えっ、なにこれ。BLにこの要素入れちゃうの?あー、もうダメだこれ。辛すぎる。救われなさすぎ。と思ったけどなんとかそこは丸くおさまって良かった。いや、おさまってなかったら読み返せてない。辛すぎ。
三島、桐野、夢野、柳田の4人の母たちはみんな違う対応の仕方なんだけど、彼らの未来はやはり左右されてしまう。親の言うことなんか!って思うんだけど、そうはいかない。勿論三島の母が理想だとは思う。でも桐野の母のように苦悩してしまう気持ちもとても分かる。
最後の桐野の決断は、正しいかなんてわからない。そりゃあアタシアタシって言ってた桐野はもういないと思うと胸がぎゅーっとする。でも彼の幸せは彼にしかきっと分からない。
あと三島は東京来てよかったよ。私も上京組なんですが、まー東京来るといろんなヤツらいるよね。ガチでクズもいるよね(褒めてます)。割と普通ののほほんとした町で生きてきたんですが、上京してまず働いた先の上司は全身刺青だったし、同僚外人ばっかだし、まー楽しかったです。クズクズ言ってたけどその上司(元クズ)には「あんたもそこそこクズだよね」って言われました。クズだから東京来たのか、東京来たからクズになったのか…。
とりあえず話のテンポよし!絵もうまし!映画のような読後で、めちゃくちゃ良かった。そしてやっぱ自画像マッチョな作家はあとがきまで面白い。